阿嘉島でサンゴの一斉産卵を観察
6月4日から5日にかけて、阿嘉島周辺の海でミドリイシ類などのサンゴの一斉産卵を観察し、調査・飼育研究に使用するため、卵と精子がまとまった「バンドル」を採取しました。
ミドリイシ類の多くは、初夏の満月前後の夜に、複数の群体がタイミングを合わせて産卵します。枝の先から小さな粒のようなバンドルが一斉に放出され、海面へゆっくりと浮かび上がっていく様子は、年に一度見られる神秘的な光景です。
今年は、沖縄のほかの地域で満月前から産卵が確認される中、阿嘉島ではなかなか産卵が始まりませんでした。さらに、満月に重なる時期に台風6号が接近したため、観察や採取を実施できるか心配されました。
しかし、台風が通過して海が落ち着いた6月4日と5日の夜、無事にサンゴの産卵を確認することができました。翌朝には、放出された卵やバンドルが潮の流れによって海面に集まる「スリック」も海岸近くで見られ、サンゴの新しい世代が海へ旅立ったことを実感しました。
産卵を確認できたことにほっとすると同時に、荒れた海を避けるように産卵の時期を調整したかのようなサンゴの自然の仕組みに、あらためて驚かされました。自然環境の変化を受けながらも、次の世代へ命をつなごうとするサンゴの力強さを感じる観察となりました。
採取したバンドルは、サンゴの受精や幼生の成長を観察し、将来のサンゴ礁保全や種苗育成につなげるために大切に活用していきます。阿嘉島臨海研究所では、今後もサンゴの繁殖や成長を調べ、豊かなサンゴ礁を次の世代へ残すための研究を続けてまいります。



